クリエイトバリュー中村宏      「弱者の情報戦略」

竹田ランチェスター経営「弱者の戦略」を実践するための「弱者の情報戦略」を考察します

組織の成熟度に応じて啓発のやり方を考えよう

組織の成熟度という言葉があります。
例えば、問題の発見から解決行動&振り返りに至るまでの自律の能力の程度を
表す考え方です。
一般的に、成熟度が高い組織は、自律的な問題解決力も高いと言われています。
そして、自社の成熟度に応じて
マネジメント(PDCA)の目標設定や進め方を変えるべきことが
良く知られています。


例えば製造業で「自働化」という言葉があります。
生産ラインを常時監視(情報活動で言う所のモニタリングと同じ)して、
不良の発生を防ぐ仕組みを作り機能させることです。
またQC活動という現場での小集団活動も日常的に行われています。


このように日本の企業は
「全員参加」で改善を推進するための高いノウハウがあるのが一般的で、
組織のマネジメント課題に応じた啓蒙・啓発が行われるのが普通です。


そして生産活動だけではなく企業活動全般において、
組織活動の目標や自分たちのマネジメントの力に応じて、
人や組織の啓蒙・啓発の方法を変えなくてはならないことに
異論を唱える人はまずいないと思います。


では、機密管理(情報セキュリティ)の分野ではどうなのでしょうか?
組織の情報管理力を何らかの方法で測定し、
その結果から情報管理の成熟度を評価し、
成熟度に応じた啓発・啓蒙を行なっている組織はどのくらいあるのでしょうか?


私はここで1つの問題提起をさせていただきます。


機密管理(情報セキュリティ活動)を開始して3年以上が経過しても、
未だに「性悪説」を基軸にした管理と、
「あるべき論」と「規則」と「罰則」によるモチーベーションを、
啓蒙・啓発の手段としている企業さんが大変多いように感じます。
(中には、そうでない企業さんも少数ながらいらっしゃいますが)


確かに「セキュリティ」とは「防犯」のことですし、
情報という資産を守るという考えが必ず必要であり、
性悪説」が情報漏洩のリスクを評価する際の
有効な手段ではあることは間違いありませんが、


それだけではなく、そろそろ、
人の「前向きな向上心」に火を付け、「改善」活動を実践したように、
自律化と自己実現のためのマネジメントに向けて、
組織のコミュニケーションを基軸にした啓蒙・啓発が
必要な時期に来ている企業さんも多いのではないでしょうか?


X理論・性悪説は組織の管理を早急な立ち上げるために必要なものです。
しかし、ある一定のレベルまで底上げができた後は、
Y理論・性善説を一部に取り入れ、
「自律化」を視野に入れた「意識の向上」が必要ではないかと思うのです。


例えば、教育をするにしても、
全社で共通のあるべき論をいくら、何度、念押ししても、
肝心な職場の実態に合わせてどのように取組み方を工夫するのか、
ここまで具体化してやらないと各職場では実践できません。
「何をすべきか」ではなく
「どのようにするのか」がわかることがカギなのです。


そして、「会社が教える」のではなく、
筋道や考え方などをヒントをして示して、
職場のメンバーに自ら考えさせることが最も良い方法です。
(気付きにつなげて行動させるためです。
指示を与えては気付きにならないので、行動にはつながり難いのです)


このようなやり方の啓蒙を通じて「どうすれば良いか」わかることで、
「自分の仕事にとって役に立つ」という実感が得られれば、
機密管理(情報セキュリティ)に対する興味や関心が一気に拡大します。
そのカギは対話や相互啓発などのコミュニケーションです。


従って、自ら職場のコミュニケーションの核となり、
職場のメンバーを巻き込むことができるリーダーを育成することが、
組織の機密管理のクォリティ向上の大きなカギとなります。
従って、今後はこのリーダーの育成を会社がバックアップすべきです。


「機密管理マインドBLD」には、
職場のリーダーが実践すべきコミュニケーションのポイントを
確実につかむことができるように対話集を中心に開発しています。


そして、このようなリーダーを中心とした
職場主体の活動を活性化させることで、
全社レベルでは目の届き難い、あるいは変化に対応しずらいものでも、
職場の自発的な取り組みによって確実にしっかりと大切な情報資産を守れる
職場環境を構築して行くべきだと考えます。


ところで昨日ご報告した「誤解」を避け、
既存のマネジネントと調和しながら機密管理力を向上させる想いを伝えるため、
Flashムービーのタイトルと、第一話の内容を少々変更しました。
「機密管理マインドBLD」ご紹介ムービー


より自然に受け入れていただくことができると思いますので、
周囲の方にも是非ご紹介をお願いいたします。


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クリエイトバリュー 代表 中村 宏