クリエイトバリュー中村宏      「弱者の情報戦略」

竹田ランチェスター経営「弱者の戦略」を実践するための「弱者の情報戦略」を考察します

機密管理の啓発活動を例えると

ODAで整備した支援先の相手国の幹線道路を通じて
大型輸送車や鉄道で送った経済支援物資を、

現地の町や村に届けるために、
幹線道路とこれらの町や村の間に、
谷や川や山を渡る「懸け橋」を作るような作業だと思います。


支援物資のニーズのある現地の町や村は、
必ずしも幹線道路に近いとは言えない場所にあると思うし、
ロケーションも様々なので「懸け橋」の形も様々でしょう。


実は情報管理も同じような側面があります。
会社の情報管理部などのスタッフが一生懸命がんばって、
ポリシーを具体化してルールや規則を文書化し、
全社教育や職場教育を通じて周知徹底を図る活動は、
ODAによるインフラ整備と同様の、
公共的な性格のサービスではないかと思うのです。


現地の町や村に当たるのは各職場です。
各職場によって仕事のスタイルは各々違うので、
機密が漏洩するリスクも予防策も実際は異なっています。


全社のルールが部門横断的な視点で共通の言葉で書かれているものを、
各職場の業務の実態に合わせて取組み方を具体化する必要があるのです。


この具体化と自分たちで行う管理の作業こそが「機密管理」であり、
各々の町や村(各職場)で自分たちのロケーション(業務のスタイル)に合わせ、
必要な「懸け橋」を作る(具体的な取り組みを決める)こと、
それを管理部等のスタッフが支援することが必要だと私は思うのです。


そして、この「懸け橋」の作り方、かけ方を学習する活動が、
機密管理の啓発活動に当たるものだと思います。


こう考えると、
現地の町や村が必要としているものを供給すること、
つまり各職場が具体的な取組み方を検討するための視点を提供することが、
機密管理の啓発活動では最も重要なことになると思います。


各会社の事業の内容や戦略によって取り扱う機密の程度は当然異なるし、
当面の経営課題との兼ね合いによって
機密管理の啓発活動の優先度も変わって来るでしょう。


しかし、情報管理が経営視点から見て、
ますます重要視されつつあることは間違いなく、
各職場で情報を「自ら守りながら活用する」マインドは
この先の時代の重要な資質になるのではないでしょうか。


クラウド・コンピューティングがごく身近に議論される時代になり、
ハードウェアやインフラ面では大きな技術革新が進みつつあります。

また、最近は各社の情報セキュリティ対策が進んだためか、
「ヒトや組織」に関する話題が少なくなりました。


しかし、機密管理に関わる人間の意識が、
ヒューマンエラー防止の上で最も重要な要素であることには
変りはないと思うのです。


この視点からの研究を、今後も続けて行きたいと思います。


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クリエイトバリュー 代表 中村 宏