クリエイトバリュー中村宏      「弱者の情報戦略」

竹田ランチェスター経営「弱者の戦略」を実践するための「弱者の情報戦略」を考察します

「教育」とは人を作ること。そのためになすべきことは?

主旨を伝えるために、表題と内容を少々訂正して、再度掲載します。

1.「個人情報のモラルアップの企画」は予想がはずれました。残念(>_<)

3月30日に「教育機関のための個人情報保護・対応力アップ」(研修)公開したのですが、予想に反してアクセスがありません。

民間企業では、プライバシーマークを取得した会社・組織は既に10,000社を越え、個人情報の漏洩事故を専門に報道するSecuirtyNextなどのサイトも充実し、個人情報保護は社会的には常識化したといっても良いでしょう。ところが業種別の取り組みを見ると、特定の業種ではまだまだ個人情報の漏洩をよく耳にする業界があります。その1つが教育界です。


また教育界からの声を聞くと、(過剰保護も含めての)「情報管理」=個人情報保護と受け取られている傾向が感じ取られ、業界全体の意識向上が必要なのではないか感じています。


教育界における個人情報保護は、「個人情報保護法あるいは自治体の条例に違反しなければ良い」というコンプライアンス遵守の認識では不十分ではないかと思います。なぜなら、教育や保育の場であると同時に、生徒・園児の生活時間の大半を預かっている=生徒・園児の安全を確保する義務があるからです。保護者は自分の子どもの安全を学校や園に託しています。ただ単に「情報を公開しなければよいだろう」と言うことではなく、生徒や園児の身の安全を確保するために適切な判断を現場で下す能力が、現場の先生方には求められているのではないでしょうか。


民間企業に勤務する保護者の個人情報保護の意識は相当に高まっています。学校や幼稚園の先生の判断力が不足していては、このような保護者は不信感を感じるにちがいありません。これは大問題です。
また、私立の教育機関の経営者の中には、「管理責任者が対応すれば良い」と判断されている方がいますが、これも大きな問題があると思います。個人情報保護は現場で仕事をする職員1人ひとりが、子どもの安全を確保するために何をすべきか、時にはコンプライアンスを超えてでも適切な判断ができなくては、本当の意味での子どもの安全を確保することはできないからです。


このような意味で、表面的な理解にとどまらず、「いざ」と言う時に適切な判断ができるように、現場での判断力を向上させるための自己啓発を是非お願いしたいと思います。


2.「教える」ということにどこまで責任を持てるか?

関連することですが、先日、ある自治体の教育委員会を通じて、公立学校の先生方を教育する専門機関に「現場の先生方の情報管理モラルの向上」を目的とした研修の企画を持ちかけました。しかし、「既に数十講座が開設されていて、個人情報保護もその中にあるから不要」との返答で、にべもなく断られました。「我々は必要な教育体制を整えて必要なことは全てやっている。これから先は、各先生方の個人の問題です」と言い切られたのには正直呆れてモノが言えなくなりました。


自分たちで「現状では現場のモラルは低い」と認識しているということは、今の教育システムによる教育の効果に課題があることを感じているのだと思います。しかし、それを改善するための取り組みやきっかけを得る努力をしないというのは一体どういうことでしょうか?

民間企業の取り組みであれ、行政・自治体の取り組みであれ、有益なものはどんどん取り入れるべきだと思います。

それと、情報を伝えることが「教える」ことではありません。少なくとも我々、民間のコンサルタントの場合は参加者を教えたことによって「実際に行動させること」ができて、クライアントは始めて価値を感じてくれるものです。評価をいただくまではものすごい努力が必要で厳しい世界です。


「自分たちは教えているので、後は各個人の問題です」というのはあまりに無責任だと思えます。教育と言うのは人が人を作る仕事です。人を作ることによって行動させることまでをコミットする、そのくらいの覚悟がないと、絶対に人は動かない。
教える人間が、人間的に魅力ある、信頼できる人間味を持っていなければ、影響を与えることはできません。人が人を作れない国家では、いずれ滅んでしまう、そんな思いが頭の中をよぎりました。


教育現場の荒廃を危惧する声が教育界の内部からも聞こえて来ますが、教育に携わる人たち1人ひとりが「覚悟」を持って臨んでほしいと感じます。必要に応じて、民間のPDCAマネジメントを取り入れるなど、振り返りと改善の仕組みを取り入れるべきです。


以上、今日は問題提起をさせていただきました。


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